皆さんは「ディロフォサウルス」という恐竜をご存知でしょうか。名前だけ聞いてもピンとこないかもしれませんが、ジュラシックパークで豪雨の中、車を走らせ道に迷い、最後はエリマキトカゲのような小型恐竜に毒を吹きかけられて食べられてしまうシーン。「嗚呼!」と思い出す方も多いと思います。そうです、あの恐竜のことです。アリゾナ州チューバシティ近郊の米国先住民ナバホ族の自治区で1940年に発見された「ディロフォサウルス」は、当時、弱弱しい顎とトサカを持っていたとされました。この論文を見たジュラシックパークの原作者が、勝手に想像をして映像にあるような小型で毒を吐く恐竜として描いたらしいのです。では実際はどのような恐竜だったのでしょうか。体長6メートル、体重750キロ、そして何より「強靭な顎と筋肉」を持った恐竜でした。まるでアロサウルスを小さくしたような凶暴な肉食恐竜だったのです。約2億~1億7400万年前のジュラ紀前期に生きていた古い時代の恐竜です。コエロフィシスに似ているのか、はたまたアロサウルスに似ているのか、骨格標本の少ないこともあり最近まで謎の多い恐竜でした。鼻の上から頭にかけて生えていた一対のトサカは薄い膜状の骨で内部がハチの巣状になっていて案外丈夫な構造でした。このトサカはライバルに対しての威嚇等のディスプレだったのだろうと考えられています。三畳紀後期からこのような「ディロフォサウルス、クリョロフォサウルス」のようなトサカをもつ恐竜が栄えたのですが、ジュラ紀の初期にはあっという間に姿を消してしまいます。その理由は「羽毛」だったのではないかと考えられています。トサカよりも羽毛の方がはるかにディスプレーとしては優れています。もちろん両方あった方が良いかもしれませんが……