恐竜ってどんな生き物?

恐竜が生きていた時代は鳥類を除けば、三畳紀(約2億5200万年前~約2億年)末頃からジュラ紀(約2億年前~約1億4500万年前)そして白亜紀(約1億4500万年前~約6600万年前)までです。恐竜類の現在の分類学上の位置は爬虫綱(爬虫類)という大きなくくりの中に存在してはいます。因みに恐竜の仲間である鳥は現在爬虫綱の下位分類ではありますが、鳥綱(現生鳥類)という爬虫綱の綱と同じ綱の独立した種として分類されています。その爬虫綱(爬虫類)は爬形類から分かれた有羊膜類(羊膜という膜に胚(受精により卵子がある程度まで卵割が進んだ状態)が包まれている生物全般のことです)から進化してきました。

私たち人類が含まれる哺乳類も、爬形類から分かれた有羊膜類から進化してきたグループです。石炭紀の終わりのころ約3億年前、有羊膜類の中から側頭窓というこめかみのあたりに位置する穴が一つのグループ「単弓類」が生まれ哺乳類型爬虫類と呼ばれるようになりました。その後、獣弓類の一亜目である獣歯類というグループから哺乳類へと繋がっていきます。この獣歯類の一部であるキノドン類のトリナクソドンという猫の大きさのような動物食の動物が哺乳類の直接の祖先ということになります。単弓類から進化した生物は哺乳類を除いてすべて絶滅しています。

一方、恐竜類が含まれる爬虫綱は、石炭紀の終わりころ有羊膜類から分かれた竜弓類と呼ばれるグループから生まれ、爬虫類(爬虫綱)と呼ばれるようになりました。その後無弓類と真正爬虫類が生まれます。無弓類は絶滅しました。この真正爬虫類の中から双弓類、カプトリブス類、プロトロティス類に分かれていきます。ここでも双弓類一種類以外は絶滅してしまいます。この双弓類から皆さんもよく知っている海棲爬虫類と呼ばれる魚竜、鱗竜類(現在の蛇やトカゲ類)、そして主竜類に分かれていきます。魚竜は絶滅しました。主竜類にはワニやカメが含まれます。そしてこの主竜類から分化進化した鳥頸類のラゴスクス(Lagosuchidae)が恐竜の直接の祖先ということになっています。ですから、恐竜と同じ時代を生きていたプレシオサウルスなどの首長竜やモササウルス類は海棲爬虫類なので恐竜類とは別のグループに分類されています。脊索動物の中で初めて空を飛んだと言われている翼竜に関しても、同じ鳥頸類ですが恐竜類として分類されていません。

恐竜とは恐竜類と言われる一つの大きなグループです。そして大きく竜盤類と鳥盤類という2大グループに分けられています。

1.竜脚類

竜盤類にはさらに竜脚類と獣脚類が含まれます。竜脚類はあの有名なディプロドクスやブラキオサウルス等、私たちが知っている陸上動物の中で最大の種を含むグループです。首と尾がとても長く、身体に比べるととても小さい頭骨を持っていました。竜脚類の骨のうち椎骨という首から尾にまでつながる長い骨の構造が含気骨と呼ばれる穴だらけの構造になっていました。私たち哺乳類と比べると、その重さはたったの35%程度しかなかったと推定されています。彼らの歩き方は側対歩と呼ばれる常に3本の足を地面につけながら四肢のうちのどれか一つしか地面から離すことができませんでした。これは現代のゾウの歩き方を見ると分かります。ゾウは走ることができますが、大型の竜脚類はその体重の重さ故、走ることができなかったのではないかと考えられています。彼ら竜脚類の恐竜たちは植物を食べていました。三畳紀、ジュラ紀後期頃までは松や杉などの球果類や銀杏、それにソテツ類などの裸子植物(胚珠という種になる部分が裸のままの植物)と胞子を作り種を作らないシダ植物(非種子植物)、茎・葉・根を持たないコケ植物(非種子植物)が主な陸上の植物でした。ですからジュラ紀後期まではシダ植物や裸子植物を食べていたことになります。おそらく苔は食べていなかったのではないでしょうか。ところが白亜紀になると被子植物(裸子植物を除いた一大種子植物群です)という胚珠が子房に覆われて見えなくなっている植物が出現することになります。この被子植物がこれ迄繁栄してきた裸子植物に取って代わることになります。被子植物は裸子植物やシダ植物のような自然任せだった授粉を蜜を提供するなどの方法を作り出し昆虫たちに行ってもらえるように進化していきます。その段階で有毒植物が出現することになります。この被子植物の存在が後の恐竜大絶滅に関わってくる一つの要因であったと考えられています。詳しくは「恐竜の絶滅って何が起こったの?」で詳しく書こうと思ってます。ところで竜脚類が植物食だった証拠はなんでしょうか。それは歯の形です。ブラキオサウルスが持っていたスプーンのような形(彼らの歯の大きさは大人の手の親指程度の大きさです)やディプロドクスが持っていた棒状の歯は、植物の葉を梳きとるのに適しています(言い換えれば梳きとることしかできませんでした)実は恐竜には1種類の歯しかなかったのをご存じでしょうか? すべて同じ形をした歯のことを「同形歯性」と呼びます。両生類・魚類・爬虫類などはこの同形歯性の歯を持っています。哺乳類のように前歯や犬歯、臼歯が同時に存在するような歯列の構造ではなかったのです。卵から産まれた竜脚類の体重はせいぜい数キログラムです。この体重から30年ほどで30トン以上に成長するには常に食べ続けなければなりません。噛み砕いている時間さえ惜しいのです。ですから、彼らは噛むことをせずにただひたすら飲み込んでいました。けれども飲み込むだけでは消化が間に合いません。効率よく消化するために石などを飲み込んで胃の中に溜め、この石同士がぶつかり合うことで植物をすりつぶしていました。この石のことを胃石と言います。良く化石と一緒に見つかります。現代の鳥たちもこの胃石を持っている種類が沢山います。さらにすり潰しただけでは効率よく消化ができないので長い消化管も必要でした。この消化管の中に消化を助けるための微生物も繁殖していました。大きなおなかをしていたのはこのためです。鳥盤類の恐竜には臼歯のように食物を磨り潰すことができる歯を持っていました。植物を常に磨り潰していたので摩耗も激しかったのでしょう。なので沢山の予備の歯を持っていました。この歯のことを「デンタルバッテリー」などと呼ばれています。

ブラキオサウルス(左)とディプロドクス(右)の模型を見物する来場者たち。ドイツ、バウツェン近郊の恐竜パークで2013年に撮影(PHOTOGRAPH BY JENS MEYER, AP) / natgeo

次は獣脚類のお話です。

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